きこり通信13号

2023年秋ー夏の山林講習会ダイジェスト&補遺

 毎夏恒例の山林整備講習会。今年は趣向を変えて、「くらしと遊びから森林資源をとらえる」をテーマに、檜谷邦茂さんを講師に迎えて実施しました。
 会は8/27(日)、カルチャープラザ仁多での講習と布勢の山林見学の2部構成。参加者は20名ほど。ワークショップも交え、視点も事例紹介も多岐にわたりました。

その山、資源になるの? ならないの?  どっち?

そう思うひとがふたり以上いれば、あるいはひとりでも

 講習では「視点を変える」ことを試しました。同じものでも、見る位置が違えば、違って見えるということ。……当たり前すぎるほど簡単なようで、できるかといったらできないことのひとつです。山が資源に見える視点がある。その視点から捉え直してみたら、行き詰まっているように見える奥出雲の山の現状を変えていく道が見えるのでは? 遊び・暮らしから考えるのは、その視点が道を見出すことにつながるからです。
 「年寄りだけがひとり山に入って黙々とやっている。誰も後には続かない」。よく聞く声です。「ひとり」というのは、家族も仲間もなく(助けなく)ということ。それどころか、「儲けにもならない危ないことを」という眼で見られてはたまりません。

ひとりよりふたりがいい。三人ならもっとずっといい

 まずは、ひとりよりふたりで、ちょっと助け合って、そこから数人のグループでできたらいい。でも、どうすれば?

モノが変える視点と使う楽しみ

 どうすればいい?というのをやめませんかということを提案します。方法が先にあるのではなく、きっかけになる道具やモノがある。まず道具から揃えるという人がいるように。抽象的なものより、具体的なものから考える。それにモノや道具って見て手にとるだけでワクワクします。そこからはじめてみると。
 講習会ではたくさんのモノが持ち込まれました。映像での紹介もありました。その中からいくつかピックアップして箇条書きで展開してみます。

組手什

・NKHの朝ドラ『おかえりモネ』で、森林組合に就職したヒロインとともに脚光。間伐材や製材の端材からつくられる。
・東日本大震災の被災地で、仮設の棚や箱など「使う人」が設計図なしでも組み立てられ、あとからの「直し」もきくDIYの本質をついたもの。
・必要だとみんなが思うものを、老若男女、家族、地域、一緒に、手足を動かし知恵を出し合い、ああだこうだと話し合いながら、つくっていける。

●焚き火台・薪ストーブ

・薪だけでなく小枝、剪定枝、廃材を熱利用する器具設備に注目。
・たとえばフレイムストーブ=焚き火台。二重構造になった円形容器が二次燃焼による強い火力を維持する。
・屋外で移動できる型に注目。移動ピザ窯、移動薪ストーブなど、車に積んで持ち運びできる。使っていると自然と人が集まってくる。
・屋内の薪ストーブも人気の理由のひとつは家族が自然とそこに集まるから。重厚で高価なものでも、数年で交換が必要な安価なものも(技術と頻繁なメンテナンスが必要)、そこは変わらない。

●木登りロープなど一式

・特殊伐採(アーボリカルチャー)から派生した技術と道具。要するにロープを使った木登りなのだが、技術・方法・道具の3点が確立されていて、指導がしっかりしていれば幼児でもできる。貴重な体験になること、山、木、森に対する見方が変わることに注目。各地で講習会も盛ん。

●木造仮設住宅

・木の町づくりに取り組む岩手県住田町。東日本大震災時、木造仮設住宅を被災者の住宅難に即応して供給。住田町にとどまらず福島県内で多く供給。背景に「木を使う」取組のネットワークが培われていたこと。
・プレハブ住宅と異なり、地域の工務店が取り組める。
・仕様や基準を含めた「住宅」観を見直す機会として。移住者用の住宅など、耐久は数年だが質は高い。払い下げて納屋などに再利用できるなど。


 山を資源にするのは視点の転換から。仕組みづくりや、方法ではなく、モノや道具をつくったり使うことから。そんなことをつらつらと短い中で記してみました。