奥出雲の森で

島根県仁多郡奥出雲町。
 それはそれは美味しいお米が毎日ふつうに食べられる町。古事記神話でスサノオノミコトが高天原から追放され降り立った地。松本清張『砂の器』の舞台となった土地。ほかにもいろいろありますが、名も無い山や谷や森が美しい町なのです。
 これから、その森や木をひとつひとつ紹介していければと思います。

 同時に、その森を美しく、あたたかいものにしている人たちがいます。

 自然は荒々しくきびしく、寂しさ、怖さをたたえるものですが、そこに人の手が入ってはじめてあたたかく美しいものになっていく。杣とよばれた人たちですが、いまはきこりという呼び方で親しまれています。

 奥出雲のきこり。じつは美しい森も、その森を維持してきたきこりも、消えてなくなろうとしています。そうかんたんになくなりはしないのでしょうが、けっこうあやういのです。

 きこりがつくる森をつくっていくのに、これから長い歳月はかかるかもしれません。5年、10年、30年、100年、200年。気の長い、この取り組みに、あなたも関わってみませんか。

 関わり方は人それぞれ。森がそれぞれであるように。そのいろんなかたちもあわせて、ここでこれから記していく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。