地元の山の木でエネルギー自給と商業支援
ふるさとの山、田、川、畑、土、緑……。そこにたてば目に映る美しい風景、手にとれば感じられる生きた土の感触、脚をひたし手で掬い口に含むこともできる清らかな水。自然とできたものではなく、ここで生きてきた先人たちがつくり、育て、慈しみながら、受け継いできたもの。いま、私たちが受け取っているこの豊かで美しい山川草木を、次にくる人たちに「まかせたよ」と渡せるようにすること。
ーそうした思いではじまった取り組みは、小さな林業を応援する、育てることを使命としています。
中くらいの林業、大きな林業も、もちろん大事。でも小さな林業だって同じように大事。だから応援するのは、小さな山を持っている林家さんで、奥出雲町には、ざっと3000家(軒)はあります。
現在、会員数は80弱で、間伐をはじめとした山の手入れをすすめることで「いい山」をつくろうとしています。
間伐材をチップに加工し町内の温泉施設に提供することで、エネルギーの自給=地産地消をすすめ、間伐材の代金は町商品券で受け取り、減っていく商店が少しでも存続できるように。なにより山がよくなるように。そして、山をよくすることのできる人が育っていくように、やっていけるように。

子ども版きこりプロジェクト
子どもたちの山の学校、子ども版きこりプロジェクトを毎年、町内ふたつの中学校で行っています。
先生は、仁多郡森林組合のみなさん、そしてきこりプロジェクトの会員のみなさんです。この町、奥出雲町で山を育てている大人が子どもたちに、山のこと、林業のこと、その技術と知識を伝えます。これも、きこりプロジェクトの大事な使命です。

作業道敷設支援
なぜ道なのか。いま、山は儲かるものではなくなっています。山に人が入らなくなり荒れている森が増えています。しかし、山や森は儲けを得るため「だけ」のものではありません。田畑に流れ込む滋養豊かな水を蓄え、生き物を育み、私たちの生活を見守り続けてくれる場所。数百年、千年にわたって、先祖が守ってきた場所。その場所を継いできたものを、経済的には厳しいながら、なんとかうまく凌いでいくために、道が必要です。生活の糧を微小なりともそこから得ることは、決して不可能なことではありません。そのための「道」。みらいへつなぐ、つながるための「道」。
ある意味、古来の土木技術の伝統が生きている道。プロジェクトでは徳島県那賀町の林家・橋本光治さんから指導を受けながら、技術を磨き育ててきました。いま、町からの補助も受けながら、奥出雲の山に道をつけることを続けています。
山につける道。育てた樹を伐倒して運び出す道ということで、作業道とふつうに呼ばれるものですが、意味としては管理道です。一時的なものでなく、使い続ける道であり、壊れない・自然の理にかなった・いい山に仕立てる・ための道。幅2.4m、切高上限1.4mを基準とした道で、高密度路網ともいいます。
そんな道づくりに、私たちは取り組んでいます。
