目立てが楽しくなる一歩手前の基本
10号では、春秋の技術研修にちなんで、チェーンソー操作の基本姿勢を振り返りました。
今号はチェーンソーの目立て。「何度も使っているけど、目立てするなんて知らなかった」という方は珍しくありません。「わかっているけどやったことがない」「切れなくなったら新品に替える」という声もあります。
目立ての技術そのものはシンプルで誰にもできることですが、単純なことほど奥深く複雑であることも事実。できるまでに時間もかかります。山仕事全般にいえることですが、てっとり早いハウツーはありません。ただ、できるようになると、気持ちよく、効率よく仕事ができて、安全性も高まります。機械も長持ちして経済的。自信もついてやる気もまして、技術も向上していきます。
誰でも楽しくなるたったひとつの方法
さて目立て。まず、新品がベストでもないですし、「やってもらう」のもよくない。どんな木を、どれくらい、どんな用途で伐るか…など、いろいろな要因で目立ては変わってきます。
また、新品には「フック気味」の刃もあるようです。そのほうが「切れる」感じがしますからね。その代わり刃が痛みやすく、キックバックを起こしやすい、硬い樹種だと振動も多い……要するに危険です。新品でも目立てが必要と捉えるのが吉。
多少下手でも自分でやりながら上達していくのがいちばん。コツはただひとつ。とにかく、時間をかけて、うまくいくまで何度でもやってみること。アマチュアの場合、機会も限られますが、前号でとりあげた「基本姿勢」同様、山に行かなくてもできることのひとつです。
バシッときまって、スーッと切れる快感
テキストのおすすめは右の『伐木造材とチェーンソーワーク』。通称ジット式と呼ばれる人間工学に基づいた方法は論理的で独習も容易です。とっつきにくいところもありますが、つまづいたときに読み直すと実にわかりやすい。手元において損はありません。
目立てがうまくできているのかどうかは、伐ってみれば、気持ちよくすーっと刃が入るのでわかります。逆によくない刃とは、桧・杉の場合なら、粉状のクズしか出ない場合。切れている刃なら、細長いかんなくずに似た形状です。
まとめると、理論を理解しながらも、気持ちよく切れるという感覚を頼りに試行錯誤を重ねること。教えてもらえる人がいればなおよし。会員向け出張研修という制度もあります。ご活用ください。
チェーンソーの選び方・その2
「持っていないけど、何を買ったらいいのか」「買い替えたほうがいい?」――そんな質問にこたえる連載の第2回です。
前回は選択の基準になる考え方として、❶軽いものがいい、❷小排気量のメリット、のふたつを紹介しました。大まかにいって、小さいほうが扱いやすく、上達して大きめを買い足すときでもサブとして使えるよというお話でした。今回は、まず一台で使うことを考えれば、中型だよねというお話。
考え方ー❸中排気量のメリット
中排気量は40〜50ccくらいをさします。いわゆるプロ用、すなわち山林用のチェーンソーが多くなります。
製品の種類も格段に豊富で、新製品開発も盛んです。実は小さなものより技術向上にプラスの面も(前回❶と矛盾するようですが、目立て・メンテナンスを含め、うまく使えばきちんと効果を返してくれる面で)。汎用性も大。バーの種類、ソーチェーンの選択肢も広がります。また、硬い広葉樹の伐倒・造材(薪づくり含め)も楽ですし、はかどります(早い・楽ちんは安全面でも重要)。
考え方ー❹何を買うかよりどこで買うか
チェーンソーはメンテナンスしながら十年二十年と使えるものです。部品の調達交換はもちろん、不調時の修理調整など、敷居の高いことも多々。頼りになるショップは仕事の片腕くらい重要です。プロが行く店、技術経験知識とも豊富なところを選びましょう。